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番外編 奈梛ちゃんの観察力

奈梛ちゃんはくりくりのお目めをまんまるくして仲睦まじいふたりをじぃーと見つめていた。 母親と常に一緒にいたせいかまだ人慣れしていない。このひとは子どもが好きか、嫌いかよーく観察している。見ていないようでちゃんと見てる。自分の世話をしてくれる鳥飼とフーは味方。鳥飼のまわりにいる大人もみんな味方。自分に危害を与えない。それをちゃんと認識している。奈梛はどうやら若い兄ちゃんが怖いみたいだ。キラキラと光るものと、じゃらじゃらという金属音に異常なほどに怯える。彼の言葉をふと思い出した。 「鍵をキーリングでベルトに直付けして、腰から下げると、じゃらじゃらと金属音がうるさいよね」 「まぁな。音が気にならない人もいれば、不快に感じる人もいるだろう。なんでそんなことを聞くんだ?」 「奈梛ちゃんのパパとママを連れ去ったのは若い男のひとで鍵をじゃらじゃらと腰にぶら下げている人。青空さんが昔どくろの指輪をはめていたでしょう?だからどくろの指輪を嵌めた人じゃないかなってふと思ったんだ」 「なるほどな。あ、そういえば……」 なにかを思い出したみたいで彼がスマホをさっと胸ポケットから取り出すと耳にあてた。 「未知は家に戻り先に寝てろ」 「でも……」 首を横に振ると、 「目玉のシルバーリングを嵌めている野郎を思い出したんだ。チカに連絡を入れたら俺もすぐに寝るから。鳥飼たちはこのまま事務所に泊まり込み電話番だ。奈梛はふたりから離れないから一緒にここでねんねだ。もし寝つきが悪いときは鳥飼が信孝のところに連れていくから大丈夫だ。心配ない」 ニッコリと微笑みながら瞳を覗き込まれ、頭をぽんぽんと撫でられた。

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