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番外編 ハイエナみたいな男
「悪賢く狙いを定めたらどこまでも追ってくる。一度騙されたら最後。汗水垂らして貯めた老後の資金が底をつくまで連中にむしりとられる。簡単に、誰でも儲かると言ってくる投資話にはろくなものはない」
「じゃあ、この人たちも悠仁さんみたいなことをしてるの?」
茶髪の若者がふたり、隠し撮りをされていることに気付いたのかこっちをじろりと睨み付けていた。
「あぁ、そうだ」
ハイエナみたいな男と仲間内に恐れられているのが岩谷《いわや》務《つとむ》と、誠《まこと》兄弟だ。兄に命令されれば誠は殺人も誘拐も平気で実行するような男だ。義足の男と同じでサイコパスだ。彼がそう教えてくれた。
「鞠家とハチが調べてくれたんだが、ふたりとも手の付けようがないくらいの問題児だったみたいだ。少年院を出所したあと更生施設に収容されたが、収容された先が古狸が理事をしていた更生施設だった。そこで楮山に見込まれ、更生するどころか悪事にどんどん手を染めていった。ふたりとも鍵をじゃらじゃらと腰に付け、目玉のシルバーリングをしている」
「じゃあ、このふたりが奈梛ちゃんのご両親を連れ去った犯人なの?」
「憶測でものは言えないが、目撃情報もある。ほぼ間違いないだろう」
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