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番外編 千里さんからのメール

陽葵の授乳のたびに夜中に何度も目を覚ました。いつも隣に寝ている彼の姿はなく、布団も使われた形跡はなく冷たかった。 鈴木さんも奈梛ちゃんのご両親もどうか無事に見付かりますように。大切な家族のもとにただいまって笑顔で帰れますように。 僕には祈ることしか出来ない。 陽葵に話し掛けながらふと辺りを見回すと、チカチカと青白く点滅するスマホが目に入った。 「もしかして千里さんかな?」 枕元に置いておいたスマホに手を伸ばした。陽葵をあやしながら画面をちらっと覗いた。 「やっぱり千里さんだ。僕にまでわざわざメールを寄越してくれたんだ」 陽葵を寝かし付けてからじっくり読もう。 やっとの思いで陽葵を寝かし付け、頭からお尻の順に布団にそっと置いた。今日は成功だ。喜んだのも束の間。いつものように泣きはじめた。 「ママに抱っこされていたほうがいいに決まってる。ママ、ミルクの甘い匂いがするし、おひさまみたいにぽかぽかしてて温かいものな」 抱き上げてあやしていたら陽葵の泣き声に気付いた彼が駆け付けてくれた。 「陽葵の寝かし付けは俺に任せて、未知は先に寝ろ」 「でも悪いよ」 「気にするな」 彼が陽葵をそっと抱っこしてくれた。 「あ、そうだ。千里さんからメールが送信されてきたの。まだ見てないけど」 「そうか」 彼になぜかクスッと笑われてしまった。

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