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番外編 オヤジ、心の声がただ漏れです
「子どもに焼きもちを妬いたら鳥に嫌われる。構ってもらえなくなる。三くだり半を突き付けられる。そう思えばいいんじゃねぇのか。どうした柚原?」
くすっと苦笑した柚原さんに彼が怪訝そうに聞き返した。
「オヤジ心の声がただ漏れだ」
「そうか?そういうお前だって橘に嫌われたら生きていかれない癖に」
目を見合わせるなりぷぷっと笑い出した。
フーさんが分かった!と言わんばかりに小さなガッツポーズをすると、頭を下げ足取りも軽く鳥飼さんのもとに戻っていった。
「通訳なしでよく通じたな」
「まさに奇跡だ」
ふたりがそんな会話をしている頃、亜優さんは鞠家さんと地竜さんの間に座りパソコンの画面と睨めっこしていた。
柚さんは……というと、信孝さんが迎えに来てくれて。慌ただしく病院へと戻っていった。これで貸し借りナシとは思っていない。未知と仲直り出来るように努力する。そう橘さんに言い残し去っていったみたいだった。
「日本にいるとすれば緑竜《リュノン》か?そうか、なるほどな」
「緑竜っていったら黒竜の幹部の男だろう。表の顔は外資系のIT会社の社長。裏の顔が天才ハッカーだったよな、確か」
「あぁ。ダオレンがいま緑竜の手下なら一緒にいてもなんらおかしくない。それに……」
そこで地竜さんが言葉を止めると末席に控えるシェドの影武者かも知れない男を指差した。
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