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番外編 彼と地竜さん
「二十日会わなかっただけなのに、たいくんとひまちゃんを抱っこしたらギャン泣きされたんだ。次にふたりに会えるのはいつになるか分からないから、忘れられないようにいっぱい遊ぶつもだ。未知はなるべく体を休めてくれ。ここにいる間はなんでも手伝うから、遠慮せず頼んでほしい」
「ありがとう地竜さん」
髪にちゅっと軽くキスをされた。
「あ、ズルいぞ」
「早い者勝ちだ」
「早いも遅いもあるか」
彼の大きな手が前髪をすきあげてくれて。
ぶちゅーと唇を押しあてられた。
「おぃ、それ卑怯だろ」
「正面ハグの特権だ。悔しかったら次はじゃんけんに勝つんだな」
「言われなくても分かってる」
耳にかかる髪を指で払うと、今度は耳たぶにキスをされた。
彼も負けじと鼻先、頬っぺたにキスをしてくれた。
「ちょっとふたりとも」
うなじにかかる彼と地竜さんの息が熱くて。それがくすぐったくて身を捩ると、逃がしてなるものかと言わんばかりにがっしりとふたりに腰を掴まれ、彼にはペロペロと肉厚の舌で顔中を舐められ、地竜さんには後ろの首筋と、首の付け根、鎖骨の窪んでいるところをペロペロと舐められた。
「遥琉、地竜さん、未知さんはキャンディーではありませんよ。たく、困ったパパたちですね」
いつの間にか陽葵が目を覚ましていた。
様子を見に来てくれた橘さんがやれやれとため息をつきながら陽葵をそっと抱き上げてくれた。
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