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番外編 仕組まれた罠

鳥飼が出掛けようとした橘たちに楮山は狼少「年だ。信用するな。そう忠告してくれたんだ。橘も鞠家もはなから楮山を信用していない。ひねくれたその根性いつか叩き直してやる。といっても生きていればだがな。もう会うこともないだろう」 組事務所から戻ってきた彼。宿題の算数のプリントと睨めっこしている奏音くんを見付けると、大丈夫か?声を掛けて隣に腰を下ろした。 「ぜんぜん、わかんないの」 「そうか。じゃあ、一緒にやろう」 「うん。一太くんパパありがとう」 奏音くんの表情がぱぁ~と明るくなった。 「パパ、おんどくきいて」 国語の教科書を握り締め一太も彼の隣に移動してきた。 「おぅ、聞いてやる」 一太と奏音に囲まれすごく幸せそうな彼の顔を見ているうち、僕までが幸せな気持ちになってきて思わず頬がゆるんだ。 「追い込まれた楮山がどんな罠を仕掛けているか分からないからな。気を抜くなよ」 彼は蜂谷さんに命じ、大怪我をして病院に緊急搬送された弾よけの男たちをそれとなく監視させていた。伊澤さんはそのふたりの素性を調べている。鳥飼さんが見ない顔だ。いや、待てよ。そう言ったことが引っ掛かるみたいだった。

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