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番外編 仕組まれた罠

「コインロッカーには布にくるまれた喉仏の骨と、水色のリボンで可愛くラッピングされたクッキー缶が入っていた」 地竜さんが胸ポケットから写真を取り出すと机の上に並べた。 「これは?」 「半月前、ある若い女が薬物中毒で亡くなった。警察が家のなかを捜索したが薬物は見付からなかった。女の口の中に直前に食べたと思われるクッキーが残っていてそれを念のため鑑定に回したら薬物反応が出た。これはゴミ箱から見付かった水色のリボンだ」 それはコインロッカーから見付かったリボンとまったく同じものだった。 「大麻入りブラウニーを作れるくらいだから、大麻入りクッキーも作れるだろうな」 「あぁ、その通りだ。新たなシノギとして、若い女性をターゲットに出来るからな」 これが突破口となりシェドとダオレンの悪事を暴く第一歩となれば……そんなことを話していた。 喉仏の骨は鑑定結果待ちだけど、おそらく藍子さんのものだ。 「最後の最後に男としてのけじめをつけるため、奏音に返しに来たのかも知れないな」 「不器用な男だ」 疲れていつもより早く就寝した一太と奏音くんの寝顔を廊下から静かにそっと見守る彼と地竜さん。 結局のところ異臭騒ぎは誤報だったみたい。詳しいことはよく分からないけど。誰も傷付かなくて本当に良かった。ホッと胸を撫で下ろした。

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