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番外編 至福のひととき
「巷の若い女子の間でクッキー缶が流行りなのか?」
「え?」
「え、じゃないだろう。きみも女の子だろう」
クスクスと笑われた。
「だって急に聞かれても……ねぇ、陽葵。困っちゃうよね」
うとうとしはじめた娘に添い寝し、寝かし付けていたら彼がお風呂から上がってきた。
「頑張った自分にご褒美とか、ちょっとしたお土産に買っていると思うよ」
何気に彼を見上げると、
「は、は、遥琉さん」
腰にタオルを巻いただけの格好に動揺し声が裏返った。
「か、風邪ひいちゃうよ」
狼狽えながら目の置き場にに困っていたら、
「馬鹿は風邪をひかないってよく言うだろう」
タオルを取ると布団を捲り、背中側に潜り込んできた。
「あったけぇー」
背中をぎゅっと抱き締められた。
髪がまだ濡れてる。体も冷たい。
「遥琉さん、子どもじゃないんだからからすの行水はだめ。ちゃんと肩まで湯船につかって、体を温めないと。疲れが取れないよ
未知をハグしていたほうが疲れがとれる」
耳朶にちゅっと軽く口付けをされ、項にも、首筋にも優しいキスが下りてきた。肌に触れてくる彼の息がくすぐったくて、体を捩ると、
「今は至福のチュータイムだ。俺の楽しみを奪うな」
力強く抱き締められ、首の付け根や鎖骨のあたりを痕が残るくらい強く吸われた。
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