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番外編 甘いひととき
「やべ。勃ったかも」
彼が狼狽えたようにぼそっと呟いた。
「遥琉さんどうしたの?」
よく聞き取れなくて。聞き返すと、
「な、何でもない。それはそうと、クッキー缶の話しをしていたんだったよな?」
慌てて話題を変える彼。
「シェドはお気に入りのガールズバーのキャストにカサブランカの花束とクッキー缶をプレゼントしている。ほら、地竜が話していた亡くなった若い女性も、その店のキャストだった」
彼がむくっと上体を起こした。
「陽葵、おやすみ」
手を伸ばすと指先で弄ぶように髪を優しく撫でてくれた。
「なんだ未知も撫でて欲しいのか?」
ニヤリと笑われた。
「別に言ってない」
慌てて首を横に振ると、
「目が撫でてって言ってるんだよ」
ニッコリと笑むと大きな手で頭をぽんぽんと撫でてくれた。
そのとき腰に熱くて硬いものが触れてきた。どくんどくん、と力強く脈打つそれは……。
「もぅ、遥琉さんたら」
恥ずかしくてどうしていいか分からなくて。耳まで真っ赤にし目を伏せると、
「未知に触れただけですぐに元気になるんだ。俺は悪くないぞ。未知が色っぽくて可愛いのが悪いんだ」
「え?僕が悪いの?なんで?」
首だけ捻って彼の顔を見ようとしたら、唇に静かに彼の唇が重なってきた。
しなやかに濡れた唇はとても柔らかくて。
時折離しては啄むような口付けをしてくれた。
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