1925 / 3281

番外編 甘いひととき

「やべ。勃ったかも」 彼が狼狽えたようにぼそっと呟いた。 「遥琉さんどうしたの?」 よく聞き取れなくて。聞き返すと、 「な、何でもない。それはそうと、クッキー缶の話しをしていたんだったよな?」 慌てて話題を変える彼。 「シェドはお気に入りのガールズバーのキャストにカサブランカの花束とクッキー缶をプレゼントしている。ほら、地竜が話していた亡くなった若い女性も、その店のキャストだった」 彼がむくっと上体を起こした。 「陽葵、おやすみ」 手を伸ばすと指先で弄ぶように髪を優しく撫でてくれた。 「なんだ未知も撫でて欲しいのか?」 ニヤリと笑われた。 「別に言ってない」 慌てて首を横に振ると、 「目が撫でてって言ってるんだよ」 ニッコリと笑むと大きな手で頭をぽんぽんと撫でてくれた。 そのとき腰に熱くて硬いものが触れてきた。どくんどくん、と力強く脈打つそれは……。 「もぅ、遥琉さんたら」 恥ずかしくてどうしていいか分からなくて。耳まで真っ赤にし目を伏せると、 「未知に触れただけですぐに元気になるんだ。俺は悪くないぞ。未知が色っぽくて可愛いのが悪いんだ」 「え?僕が悪いの?なんで?」 首だけ捻って彼の顔を見ようとしたら、唇に静かに彼の唇が重なってきた。 しなやかに濡れた唇はとても柔らかくて。 時折離しては啄むような口付けをしてくれた。

ともだちにシェアしよう!