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番外編 仕組まれた罠
「なんでふたりして裸なんですか」
「服を着るから、頼むからガミガミ怒らないでくれ」
「ままたんは怒っているより、笑っていたほうが可愛い」
「誰が私を怒らせていると思っているんですか?」
「はい、俺」
彼と地竜さんの声が見事にハモった。右手を上げるタイミングもこれまた同時。さすがの橘さんもこれには、
「分かっているならいいです」
額に手をあてて深いため息をつくしかなかったみたいだった。
むくっとふたりして起き上がると、彼とお揃いのシャツを地竜さんは嬉しそうに羽織った。
「ブリーフも実は遥琉とお揃いなんだ。ほら、見てみ」
「いいです」
恥ずかしくて直視出来なくて。両手で顔を覆った。
橘さんもなるべく見ないようにあえて視線を逸らし、寝相の悪い子どもたちの布団をかけ直してくれた。
「しかし、まぁ、胸板が厚くて羨ましいよ」
「そういう遥琉だって、腹筋が綺麗に縦に割れてて羨ましいよ」
「尻だってほら、全然たるんでいない。弾力性があって揉み心地が最高だ」
「そうか?それよりも遥琉のソレ、びんびんじゃん」
「そういう地竜だって」
「収まりがつかなくなってきた」
「俺も」
「未知に撫でてもらうか?」
「それいいかも知れない」
聞かないフリをしていた橘さんだったけど、
「ふたりとも、ふざけるのも……」
振り返るとふたりはすでにいなかった。正確にいえば、布団のなかに隠れてしまったわけで、これには橘さんも呆れ返り、なにも言い返すことが出来なかった。
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