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番外編 仕組まれた罠

「未知、橘はいるか?」 彼が血相を変えて居間に駆け込んできた。 「台所にいないかな」 「いないから探しているんだ」 「そんなに急いでどうかしましたか?」 紙袋を両手で抱えた橘さんが彼の背後から姿を現した。 「どこにいたんだ。探したんだぞ」 「ナオさんのところに紫さんから頂いたケーキを置いてきたんです。ついでに洗濯物を預かってきました」 「どっか具合が悪いところはないのか?」 「いまのところ別になんともありません。何かあったんですか?」 「手が発見されたとき、コインロッカーにいた警察官と鑑識が次から次に体調不良を訴えて、病院で手当てを受けている」 「地竜さんと茨木さんが以前にも似たようなテロがあった。罠かも知れない。そう言われまして。地竜さんが用意してくれた防護服のレインウェアに着替えて、マスクにゴム手袋でコインロッカーに近付いたんです。だから、余計に犯人に疑われてしまったんですが。ここに着く前に根岸さんのお宅にお邪魔してシャワーを浴び着替えも済ませてきました。なのでいまのところなんともありません。茨木さんは野次馬のなかに犯人がいるかも知れないからと写真を撮影していましたのでロッカーには近付いていません」 「そうか橘も茨木さんも無事で本当に良かった」 ほっとし胸を撫で下ろす彼。

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