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番外編 仕組まれた罠
「ずいぶん前の話しだ。教団に捜査のメスが入ったとき、同じように異臭がして、それを嗅いでしまった捜査員が次から次にばたばたと倒れていったんだ。今回も一歩間違ったらもっと大惨事になっていたかも知れない。このくらいで済んで良かった」
地竜さんがしーと人差し指を唇の前に立てると、そっとカーテンの影に隠れた。
「ねぇ、パパ、ママ、ままたん、ゆかりさん、おじちゃんしらない?」
しばらくすると遥香が現れた。
「ここちゃんもたくいんもハルお姉ちゃんと一緒におじちゃんを探しているのか?早く見つかればいいな」
風もないのに不自然に揺れるカーテンをちらちらと見ながらふたりに声を掛けた。
「あ、わかった!」
今にも吹き出しそうになっている紫さんの顔を見た遥香がピンときたみたいで、
「おじちゃんをおどろかせよう」
足音を忍ばせ、抜き足差し足でカーテンに近付いていった。
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