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番外編 仕組まれた罠

せーの。遥香の掛け声とともにカーテンを勢いよく開けた。でもそこにいたのは地竜さんじゃなくて、 「あれれ、おじちゃん、くまさんになっちゃったよ」 不思議そうに首を傾げる遥香。 もう片方のカーテンから足がちらちらと見え隠れしていることに気付いた太惺と心望。並んでお座りをするとカーテンの裾をそぉーと捲り、いないいないばぁ遊びをはじめた。最初こそ声を出さないように我慢していた地竜さんだったけど、双子ならではの息のあった可愛い仕草に我慢しきれず笑い出した。すると太惺と心望もキャキャと大喜び。立っちすると競うように地竜さんの腕の中に倒れ込み、お手手を伸ばし我先にと抱っこをせがんだ。 「地竜、モテモテじゃないか」 「ふたりの気持ちはすごく嬉しいんだけど、おじちゃんねママ一途なんだよ。それ分かるかな?」 ふたりにぱー、ぱーと呼ばれ、嬉しくて泣きそうになりながらもふたりを交互に抱き上げてくれた。 「おじちゃんおにだよ」 「なんだもう見つかっちゃったか」 笑いながら頭を掻く地竜。 「ハルちゃんこんどかくれるね」 遥香がばたばたと元気に駆けていった。 転んで怪我をしたらもともこうもないぞ。心配する彼の声はおそらく聞こえていない。

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