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番外編 仕組まれた罠

「ミルクの甘い匂いと、美味しそうな卵焼きの匂いがする」 奏音くんのお腹がググ~~と派手に鳴った。 「さっきごはんを食べたはずなのにもうお腹が空いちゃった」 エヘヘ、鼻を啜りながらはにかむような笑顔を見せてくれた。 「なにか食べたいものはありますか?夕ごはんは奏音くんのリクエスト献立にします。遠慮しなくてもいいですよ」 「え?いいの?」 「えぇ」 にっこりと優しく微笑む橘さん。 橘が笑ってる。おっかねぇ。ぼそぼそと呟く彼の声が開けっぱなしのドアの向こう側から聞こえてきた。 「ままたんはそんなに怖いですかね」 「怖くない」 奏音くんがぶんぶんと首を横に振った。 「お腹も空いてるけど、なんか眠くなっちゃった」 「お昼寝したらどうですか?三時のおやつになったら起こしますよ」 「ありがとうままたん。未知さんもありがとう」 奏音くんがすがるように袖にしがみついてきた。 「かなたがねるまでそばにいて。ひとりはいやだ。こわいしさみしいから」 橘さんと一緒に奏音くんをぎゅっと抱き締めた。 「かなたモテモテだね。みつきままに焼きもちやかれちゃうよね」 「光希さんは愛情深く、心が広いので誰かさんみたく焼きもを妬きませんよ」 「かなたわかった。一太くんパパとりゅうぱぱのことだ」 「遼おじちゃんもかなりの焼きもち妬きですよ」 「え?そうなの?」 そんな他愛もないことを話していたら五分と経過しないうちに眠ってしまった。

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