1944 / 3281

番外編 仕組まれた罠

「仲直り旅行なんてどうだ。たまには子供抜きでじっくりと話し合うのもいいんじゃねぇか。な、橘」 「そうですね」 「どうしてもふたりきりになりたくないっていうなら、橘と柚原夫婦と、信孝とナオ夫婦と六人で行けばいい。子どもたちは俺らでみている」 ーありがとう遥琉。紫さんにも同じことを言われたー 「そうか。信孝と橘と柚原がいれば鬼に金棒だろう」 ー兄さんも橘も柚原も親身になって話しを聞いてくれる。未知さんに酷いことをしてきたのに……ー 「それとこれとは別だ。一央が退院してくるころまでには状況が良くなっていればいいが。柚、度会さんの家の警備を強化した。くれぐれも気を付けろよ」 ーありがとう。子どもたちはこの命に代えても絶対に守るって度会さんと紫さんに言ってもらえたの。それがどれほど嬉しかったかー 「ふたりにとって、柚と未知は娘だ。目に入れても痛くないくらい可愛くて仕方がない。だから、甘えればいいんだよ」 彼と柚原さんに励まされ、柚さんの声がようやく明るさを取り戻した。 勝機がなくても上田は弔い合戦をおっぱじめる気だ。上田は奏音くんやめぐみちゃんや優輝くんの存在を知っている。害を及ぼすかも知れない。取り越し苦労ならいいが。彼の心配は尽きそうもない。

ともだちにシェアしよう!