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番外編 久坂さんの死
ー上田の若いもんが楮山組とマチガイを起こしたみていだー
「死人は?」
ーふたりほどー
「分かった。遼、龍くれぐれも気を付けろよ」
電話をを切るなり深いため息をつく彼。
「未知も知っている通りマチガイとは抗争のことだ。謝って起こったものであるとすることによって、手打ちの道を残してやる。ケンカなら引けないがマチガイなら話し合って正すことができるだろう」
「どちらかが一歩引いて、譲れば喧嘩なんて起きないんだってお祖父ちゃんがよく言ってた」
「石山も上田も互いに牽制しあい、話し合う気はゼロだ。泥仕合にならなければいいが」
これから起こりうる最悪の事態が頭を過ったのか、彼が肩を強ばらせた。
お祖父ちゃんと根岸さんは新幹線で東京に向かった。秦さんは始発の新幹線で先に東京に向かい無事に本部に着いたとついさっき連絡が入った。僕じゃなく陽葵の弾よけを千里さんにじきじきに命じられた青空《そら》さんは弓削さんが預かりしばらく面倒をみることになった。
「青空、彼氏とラブラブみたい」
「そうなの」
「熱烈なラブレターをやり取りしているみたいだよ。恥ずかしそうにしながらも惚気話しを嬉しそうにしていた」
「そういえば青空もフーと一緒で年下夫だよね?」
「言われてみれば確かにそうだね」
山のような洗濯物を畳ながら紗智さんと那和さんがそんな会話を交わしていたら、
「四十代は男盛りだ。色気が増して魅力がさらに増すからな。鳥飼も尊もやっと幸せを掴んだんだ。そっと見守ってやろう」
彼が気配もなくふらっと現れたものだから腰を抜かすくらい驚いていた。
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