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番外編 間接ちゅー

「未知大丈夫か?」 彼に心配そうに顔を覗き込まれて。どきっとして顔を上げると、 「飲み物を持ったままぼぉーとするな。ほら見てみ、袖が濡れている。紗智、そのタオル貸してもらってもいいか?」 「いいよ」紗智さんからタオルを受け取ると手と袖口を拭いてくれた。 「マーごめんね」 「マーの前で尊の話しは禁句。忘れてた」 「今となってはもう過去の話しだもの。僕の方こそ心配かけてごめんね」 なるべく明るく振る舞った。 「そうやってすぐ無理する……だから、余計に心配になるんだ」 両手で持っていたマグカップがすっとなくなった。 「タンポポ茶だっけ?なかなか美味しいな。どうした?顔が真っ赤だぞ」 「なんでもない」 慌てて顔を逸らすと、 「間接ちゅーだけで真っ赤になるマー可愛い。紗智もそう思うでしょう」 「うん。可愛い」 那和さんと紗智さんにまで可愛いを連呼され、恥ずかしくて身の置き場にほとほと困り果ててしまった。

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