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番外編 抗争勃発

ネットニュースで神政会《じんせいかい》と楮山組抗争勃発か。第一報が報じられたのは彼が遼成さんと電話で話しをしたわずか一時間後のことだった。 「楮山に寝返る条件として西岡が提示したのが一家名乗り、つまり、独立して自分の組をもつことだった」 「女の癖にって千里を毛嫌いし馬鹿にしていたからな。たとえ器量があったとしても千里がいる限り一家名乗りを許されない。一生飼い殺しのままだ。だから、先々代が亡くなると同時に反旗を翻した」 「神政会は西岡が組長に就くはずだった新しい組織だ。西岡の回復を待っていたんでは弔い合戦をおっぱじめる前に石山に潰される。だから上田が組長代行に就いた」 「みな血の気がやたらと多くて、ヤバイ連中ばっかだからな。おちおち眠ってもいられなくなるな」 居間で鞠家さんたちと深夜遅くまで話し込んでいた彼。 冷蔵庫に入っている飲み物を取りに行こうとしたら何気に目があった。 「まだ起きていたんだ」 「陽葵を寝かしつけたらなんか喉が渇いちゃって」 「そうか」 鞠家さんが彼に続きは明日に……日付が変わっているから今日か。そんなことを話していたらあっという間にふたりきりになった。 「鞠家も柚原もカミさんが布団を温めて待ってんだ。たまには早く寝せてやらねぇとな」 「遥琉さん、僕たちも寝よう」 「あぁ。たまには俺が添い寝してやる」 「ありがとう」 飲もうとしていたたんぽぽ茶を彼がなぜか口に含んだ。 「遥琉さん、あの……」 腰を片手で抱き寄せられると、クイと頤を掬い上げられて。彼の唇がすぐに重なってきた。目で口を開けるように促され、少しだけ口を開けると冷たい飲み物が口内に入ってきた。

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