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番外編 抗争勃発

ふわっと体が宙に浮き、気付いたときには彼にお姫さまだっこをされていた。 「歩いて戻れるよ」 「俺の楽しみを奪う気か?」 「ううん」 慌てて首を横に振った。 「疲れているのに悪いと思ったから、その……」 「こんなの疲れいるうちに入らないよ。未知をこんなふうに抱っこしたくても落とすから、危ないからって橘に言われて、言い付けをちゃんと守って、九ヶ月もの間、ずっと我慢していたんだ。偉いと思わないか?」 「うん」大きく頷いた。 「だろう?」 ニヤリと愉しそうな笑みを浮かべた。 「ちゃんと掴まってろ。未知、悪いが電気を消してくれないか?電気代を少しでも節約しないと、また橘に小言をまかれる」 「うん、分かった」 彼が向かったのはドアじゃなく、なぜか台所のシンクだった。 「ひとつだけやりたいことがあったんだ。三分でいい。悪いけど付き合ってくれ」 いまいち理由が分からなかったけど頷くとシンクの上にそっと座らせられた。お尻がひんやりとして冷たかったけど、彼と同じ目の高さになり、見つめられるだけで体がカッと熱くなって、冷たいことはあまり気にならなくなった。 「縣夫婦は朝っぱらからここでいちゃついている。早く起きた者勝ちで、遼と龍、どっちかが光希とラブラブタイムを過ごしている。自慢話ばかりされるから、俺もいつか未知をここに座らせて、イチャイチャラブタイムを過ごしたいってずっと思っていたんだ」

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