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番外編 遥琉さんのやりたかったことって?
「未知が俺の腕のなかにいてくれる。それがどんだけ嬉しいか。未知のこの温もり、絶対の安心感があるんだ。不思議と心が落ち着くし、癒される。一日の疲れなんて一瞬で吹き飛ぶ。やっぱり俺は未知なしでは生きられない。あんまりしつこくすると嫌われるって紗智たちに言われているが、愛しているって、未知の目を見て言わねぇと、好きで好きで堪らない俺の気持ちがちゃんと伝わらないだろう?未知、愛してるよ。今日も一日ご苦労様」
「僕はなにもしてないよ」
「きみが笑うとそれだけで家がとても明るくなる。子どもたちがみんな元気なのもきみのお陰だ。ありがとう」
おでことおでこをくっつけた。距離はほぼゼロセンチ。心臓の音が聞こえそうなくらいの距離にどきどきが止まらなくなった。
「熱でもあるのか?おでこが熱いぞ」
「気のせいだよ」
「本当にそうか?」
笑ってなんとか誤魔化そうとしたけど、彼にはすべてお見通しだった。
視線が絡み見つめあうと、眦に、鼻先に、頬っぺに軽くキスをされて、最後に唇に彼の唇が静かに重なってきた。
「ありがとう未知。やりたかった三つのことのうちひとつがやっと叶ったよ。体が冷えてしまう前に布団に行こうか?」
やりたかったこと?何かな?聞く前にぎゅっと抱き締められて。さっきよりも甘いキスをしてくれた。
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