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番外編 仕掛けられた罠

整形外科の窓口で名前を言ったら五分と経過しないうちに診察室に呼ばれた。 「軽い捻挫で良かったな。未知まで骨折したらと思うと気が気じゃなかった」 「ごめんね心配かけて」 「しばらくの間無理は禁物だ。手伝えることは何でも手伝うから。遠慮なく言うんだぞ」 「うん、分かった」 弓削さんが自動販売機から麦茶を買ってきてくれた。 「さっきの車椅子の男、物陰からそれとなくこちらの様子を伺っていた。会計と処方された湿布は私が受け取ります。オヤジは先に姐さんと戻ってください」 「おぅ、分かった」 彼が怪我をしていない左手をそっと握ってくれた。 「家に無事に辿り着くまで何があってもこの手を離さないからな」 「遥琉さんありがとう」 「おぅ」 彼が目を細め、ニッコリと微笑んでくれた。 「よし、帰ろう」 玄関ドアの前にしばらくの間タクシーが横付けにされ停車していた。そのタクシーが移動するのを待って玄関ドアに向かおうとしたら、いたたた、お婆ちゃんが床の上にうずくまり腰を擦っていた。 「あの人らがワシにぶつかってきたんだ」 お婆ちゃんが指差したのは会計を待つ弓削さんとウーさんだった。 「弓削もウーも一歩も動いていない。罠かも知れない」 彼が足早に病院から出ようとしたらあの車椅子の男性が僕たちめがけてすごい勢いで突っ込んできた。

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