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番外編 彼からの母の日の贈り物
「ねぇ遥琉さん」
「心配するな。なるようにしかならないよ」
不安な気持ちを一掃するかのように、彼がにこっと微笑んでくれて。頭をぽんぽんと撫でてくれた。
「あ、そうだ。渡すのをすっかり忘れていた」
彼がポケットから大事そうに取り出したのは可愛くラッピングされた小さな箱だった。彼に手伝ってもらいながら箱をそっと開けるとピンク色のルージュが入っていた。
「千里に未知は女の子なのよ。ルージュのひとつくらいプレゼントしなさいよって、耳にタコが出来るくらい言われたんだ。母の日のプレゼントだ、遅くなってごめんな」
「ううん大丈夫。ありがとう遥琉さん。嬉しい」
「実はなもうひとつある。本人から直接渡せばいいのにな。あぁ見えてシャイだからな」
彼がポケットから取り出したのは樹脂で出来たピアス。耳に穴を開けなくても耳につけられるものだった。
「青色の……水晶玉?パワーストーン?興味がないから全然分からないけど、すごく綺麗。なくなさいようにしないと」
車から見える雲ひとつない青空を見上げた。
地竜さんプレゼントありがとう。絶対に死なないで。絶対に生きて帰ってきて。
藁をも掴む思いでそう祈りながら、そっと手のひらで包み込んだ。
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