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番外編 フルヘイスのヘルメットの正体は……
広い駐車場はがら~んとして静まり返っていた。連絡を受け駆け付けてくれた組のみんなと弓削さんとフーさんが車の前で腕を前に組み鬼の形相で仁王立ちして待ち構えていた。
キョロキョロと辺りを見回したけど柚原さんの姿は見当たらなかった。
数秒後、乾いた爆音を轟かせオートバイが猛スピードであとを追い掛けてきた。その直後、ぱんぱんと二回、銃声が聞こえたような気がした。
「タイヤがバーストすれば転倒するかも知れないがパンクしたくらいでは転倒しない。かなりのスピードが出ていれば別だがな」
怯えながらも、恐る恐る窓の外を見た。
運転していた男のお尻がシートから浮き上がり、両足がステップから外れ、ハンドルが手からもぎ取られた。
「あっ!」
と声を出すよりも先にふたりの男の体は空中に浮いた。
ヘッド・ランプをつけたオートバイは無人のまま、真っ直ぐに走っていく。
コンクリート敷きの駐車場にはいくつか黒く、水溜まりがある。
ひとりで走っていくオートバイを見ながら、ふたりの男たちは、オートバイにまたがったままの姿勢でその水溜まりに落下していった。
組のみんなが一斉に男たちに駆け寄った。
暴れる男たちを三人がかりでなんとか取り押さえると、弓削さんが銃を突き付け、フルへイスのヘルメットを外すように男たちに命じた。
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