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番外編 蜂谷さんの千里眼
すべては巧妙に仕組まれていた。
罠を何重にも張り巡らした真の黒幕はーー。
「鳥飼が話してくれたまゆこと、橘が調べてきたまゆこはまるで別人のようだ。前にそう話してくれたよな?」
「うん」
「それが妙に引っ掛かって。ほら、喉に小骨が刺さったような、あんな感じだ。だから調べたんだ」
岩谷兄弟に拉致され、アジトに監禁されたまゆこさんとご主人。警察が踏み込んだその日のお昼、岩谷兄弟から苦い液体を無理矢理飲まされ、その直後の記憶がぷっつりと途絶えた。警察が踏み込んだとき目が覚めたみたいで、まゆこさんは血がベッタリとついたナイフを握りしめていた。まゆこさんのご主人は床の上に血まみれで倒れていた。
「ナイフから岩谷兄弟の指紋が出てきたことと、まゆこの体内からクスリの成分が検出されたことで、サツは証言を信じまゆこを釈放した。そんときの写真を奈梛が不思議そうに首を傾げて見ていたそうだ」
「ママに似てるけど、ママじゃないって分かったのかな?」
「子どもは勘が鋭いからな」
「あやみちゃんは何て言ってるの?」
「顔も声も雰囲気も母親には違いないが、気のせいかもしれないが、何かが違うって話している」
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