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番外編 哀しきひと

どっちが本物のまゆこさんなの? まゆこさんに成りすましているのは一体誰なの?考えれば考えるほど頭のなかがこんがらがってきた。 「偽者は上田が匿っている。本物のまゆこはK市内に潜伏している」 そこへ現れたのは柚原さんだった。 「miki生花店の車の後部座席に女が乗っていた。逃走するときその女は鬼の形相で俺たちを睨み付けていた」 「顔の半分は髪で隠れていたが、隠れていない部分はいつみに似たなかなかの美人だったぞ」 弓削さんが続いて姿を現した。手の甲から手首にかけて包帯がぐるぐるとまかれてあった。 「弓削さん、その手……大丈夫ですか?」 じっとしていられなくて駆け寄ったら、 「これは相手を騙すためのフェイクです。姐さんに心配してもらえるなんて、俺、果報者です。涙が出るくらい嬉しいです」 「本当に泣くヤツがあるか」 「だって嬉しいものは嬉しいんだ。しょうがないだろう」 弓削さんが手で涙をごしごしと拭った。 「車を運転していた男は岩谷兄弟で、オートバイを運転していたのは譲治と達治だ。譲治は自分が囮となり達治を逃がした。譲治は罪をちゃんと償い、オヤジのもとで一からやり直したいとサツに話している。嘘か本当か分からない。それにこれですべてが解決した訳じゃない。二度あることは三度ある」

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