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番外編 哀しきひと
「でね、明日もともと父に会う用事があったのよ。朝八時半に診療所に来れるかしら?朝早いしやっぱり無理よね」
「いえ、何とかします」
弓削さんがすっと前に出た。
「さっきも思ったんだけど、あなたもそっちののっぽさんもますます箔がついたんじゃないの?前よりもすごくかっこよくなってるよ。表情もすごくいい」
「ありがとうございます」
ウーさんには鞠家さんが通訳してくれた。
「もしかして照れるの?可愛いわね」
「南先生、ウーはこう見えても恥ずかしがり屋なんです。あまりからかわないで下さい」
弓削さんが助け船を出してくれた。
「揃いも揃ってイケメンばかりで、未知さんが羨ましいわ」
「頭が固く強面で厳つい男連中ばかりですよ」
彼が遅れて姿を見せた。
「卯月さん聞いたわよ。未知さんの手の怪我のこと」
「そのことに関しては謝ります」
「あら、珍しい。素直じゃないの」
お祖父ちゃんや根岸さんや橘さんにみっちり怒られて、これで南先生に怒られたらしばらく立ち直れないもの。
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