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番外編 哀しきひと
おやすみなさい。腰を浮かせ背を伸ばし彼の頬っぺに軽くキスをして陽葵の隣に寝ようと思ったら、
「未知!」
彼が大きな声を出したから驚いた。
「しー。陽葵が起きちゃうよ」
唇の前に人差し指を立て小声で返すと、
「まさかきみからおやすみのキスをしてもらえるとは思わなかったな。お陰で一瞬で眠気が吹き飛んだ」
表情を輝かせて楽しそうに笑うと、体を引き寄せられ抱擁された。
心地いい温もりに溢れた彼の広い胸板に包まれる。
一番落ち着く場所であり、絶対の安心感がある場所だ。うっとして目を閉じようとしたら、背中に回された手が背筋を軽く撫で、うなじを触り、片手が腰の方へと下がっていった。
「遥琉さんだめ」
「なんで?」
大きな手でさわさわと肌を撫でる彼の指に思わず感じてしまったとは口が裂けても言えない。
「あ、そこは……」
背筋から、腰に落ちた指先は、お尻に向かって柔らかな肉に触れてきた。
「気持ちいい?」
耳朶を甘噛みされ、掠れた声で囁かれ、頬がみるみる紅潮した。
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