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番外編 哀しきひと

口付けながら、ゆっくりと敷布団に押し倒された。 「はる、さん……っぁ……っ」 肩と、首筋に、彼の熱く湿った息が触れてきた。 「逃げるな」 そんなつもりはなかったけど、もがく体を抱き締められ、深く口付けをされた。 やがて柔らかな舌が入ってきて、口内を探りはじめた。 上顎の凹みを擽るようにして舐め、舌に舌を絡めて吸い、そこに柔らかく歯を立てられると、くぐもった呻きが口の端から零れた。 「ふ……っんぅ……」 ちゅっと音を立てて唇が離れていき、潤んだ瞳でじっと見つめられた。 「未知の顔、ゆでたこみたいに真っ赤だ。頼むからあまり煽らないでくれ。キス以上のことをしたくなるだろう?きみの滑らかな肌の質感を堪能したくなるだろう?」 困ったように苦笑いすると、肩、二の腕、腰、背中を服の上からそろりと撫でられた。 「柚原も鞠家もフーも精神統一するのにここ三週間禁欲して、エッチ我慢で頑張ってんだ。俺も我慢しないと示しがつかないよな。でもなぁ……」 「遥琉さん?」 「いや、なんでもない。独り言だ。未知、おやすみのキスをしてから寝るぞ」 「え?」言うなり今度はあちこちにキスをされた。 「遥琉さん、待って」 頭の先から足の爪先まで、口では言えない恥ずかしいところまでおやすみのキスをすると、満足したように僕を抱き締め眠りについた。

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