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番外編 哀しきひと

「姐さんが、未知のことだからなるべく目立たないようにジーパンと半袖シャツで一か月健診に行くはず。それでは全然可愛くない。と申しましてこれを預かって来ました」 黒いキャリーケースから白いモックネックの半袖シャツとキャメル色のリボンワンピースを取り出すとそれを渡された。 「新色だそうです」 「あ、ありがとうございます」 ワンピースのギャザー部分がゴムになってて、ぐんと伸び、トップスはスリットを開くと授乳口になっていた。 「青空さん、あなたも着てください」 色違いのマスタード色のリボンワンピースを渡された青空さん。マスクで口元が隠れているから顔の表情はよく分からなかったけどしばらくの間固まっていた。 「それとこれはオヤジからです」 服の上に子どもたちの服がどんどん重なっていき、気付いたときにはこんもりと服の山が出来ていた。 「お陰さまで軽くなりました。ご協力感謝します」 「いえ僕は別に何も……」 「これで心置きなくご当地スイーツをぎゅうぎゅうに詰め込んで帰れます。お使い無事完了です。未知さん、もしおすすめがあれば教えてくださいね」 「は、はい。分かりました」 森崎さんってつかみ所がないから、どう話していいかたまに分からなくなる。えへへ、笑って誤魔化したけど、顔はかなりひきつっていたと思う。

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