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番外編 哀しきひと

怖い顔より断然こっちの森崎さんの方がいい。なんて考えていたら彼に焼きもちを妬かれてしまった。 「どこの誰とは言わないが、千ちゃんファンクラブに続いて、未知ファンクラブを立ち上げた不貞な野郎がいる。未知を独り占めしたくても出来ねぇだろうが」 彼が不満を露にしてぼそぼそと呟いた。 「もしかして弓削さんが?」 「俺じゃない。完全復活してから柚原と姐さんファンクラブを立ち上げようとは考えていたが、先を越された」 「どこの誰って、ひとりしかいない」 鞠家さんがぷぷっと思い出し笑いをした。 もしかして……お兄ちゃんかな?あ、でも、遼成さんっていう可能性もある。 いったい誰だろう。そんなことを考えていたら、ピピピとアラームが鳴った。 「一太と奏音を送ってくる。未知も出掛ける準備をしろ」 防弾チョッキの上に上着を颯爽と羽織ると慌ただしく出掛けていった。 「行ってらっしゃい」 手をぶんぶんと振ると、 「おぅ、未知もな。くれぐれも気をつけて行けよ」 笑顔で手を振ってくれた。 「ありがとう遥琉さん。蜂谷さんとウーさんと壱さんが一緒だから大丈夫だよ」 彼の姿が見えなくなっても手を振り続けていたら、 「いいなぁ~~」 「オヤジばっかズルい」 「姐さんはみんなの姐さんなのに 「未知さんはみんなの未知さんです」 弓削さんたちがひそひそと話す声が聞こえてきた。

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