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番外編 ワンオウ

「またげたな。儂そっくりによくまぁ化けたこと」 上澤先生もびっくりしていた。 弓削さんに、蜂谷さんが待っているからウーさんと南先生と上澤先生と一緒に待合室に行くように言われた。 「遥琉さんを置いて行くなんて、そんな薄情なことは出来ないよ」 「ずいぶんと嬉しいことを言ってくれるじゃねぇか。その気持ちだけありがたく受け取っておくよ。未知、安全な場所に陽葵を連れていってくれ」 彼が頬に手を置くと顔をめりめりと剥がしはじめた。 「姐さん面倒なことになる前に移動してください」 弓削さんに背中をそっと押され、ちらちらと何度も振り返りながら廊下に出ると、渡辺さんら大勢の刑事さんと鉢合わせになった。 「九鬼まゆこを捕まえろ‼逃がすな‼」 渡辺さんの指示で診察室に雪崩れ込んで行った。 「未知さんも陽葵ちゃんも良かった無事で」 渡辺さんがほっと胸を撫で下ろした。 「ながはらレディースクリニックにいるのはまゆこの替え玉だ。本物は上澤診療所にいる、匿名のタレコミがあったんだ」 「替え玉⁉もしかして……」 「あやみは安全な場所にいるから安心しろ」 「良かった無事で……渡辺さん、本物の厚海さんを大至急探してください」 陽葵をあやしながら頭を下げた。 「儂たちからも頼む」 上澤先生と南先生が一緒に頭を下げてくれた。

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