2002 / 3282
番外編 ワンオウ
「玩遇《ワンオウ》……つまり人形のことだ。渡辺さん、貴方に化けているのは芫だ。間違いない」
「芫だと?」
驚きの表情を見せる渡辺さん。
「まゆこは第二のシェドになれる逸材……三本菅がそう言っていたんだ。芫はまゆこを抱き込む気だ」
「なんだと。降矢、高梨、そこにいる渡辺は偽物だ!まゆこを守れ!」
声を張り上げたけど、時はすでに遅し。
渡辺さんがまゆこさんのこめかみに拳銃を突き付けた。すると、まゆこさんは慌てる素振りを一切見えず、男性の格好のまま、ふふ、と妖艶な笑みを浮かべ、渡辺さんをじっと見つめた。
「末恐ろしい女だ」
「さすがは九鬼の女。たいしたもんだ」
まゆこさんを人質に取られ、回りにいる刑事さんは手も足も出ない、そんな感じだった。渡辺さんは刑事を威嚇しながら、まゆこさんの背中を押して車の後部座席に押し込んだ。
「未知、行くぞ」
車が走り出すと同時に、裏口に急いで向かった。
動揺し足が縫い止められたように立ち尽くす弓削さんを、ウーさんがちょいと片手で軽々と抱き上げると、蜂谷さんと一緒に移動をはじめた。
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