2006 / 3282

番外編 ワンオウ

楮山組は鼠を一匹、神政会にひそかに潜り込ませていた。だから、神政会が僕を暗殺しようとしているという情報を早い段階で手に入れることが出来た。楮山組はこの混乱に乗じ僕の大切な子どもたちとナオさんの暗殺を計画した。 人手が足りないと彼に頼まれれば鷲崎さんは間違いなく森崎さんら幹部を助っ人に向かわせるだろう。計画を成功させるためには目の上のたんこぶである、お祖父ちゃんと根岸さんが邪魔。伊澤さんは根岸さんとペアだから、根岸さんさえ連れ出せればいい。だから、本部に呼び出されるように仕向けた。 福田さんの息子さんは、素行の悪さから、あまり評判が良くなかったみたい。組のお金を無断で持ち出したり、若い衆と些細なことで喧嘩したりと、目に余るものがあった。見るに見かねた千里さんが本部に呼び出し、一から教育し直そうとカバン持ちをさせていたけど、三日と持たず逃げ出しそのまま行方不明となってしまった。 「福田さんは息子が事故にあい都内の病院に入院していると鷲崎に説明していた。実際は違っていた」 彼が空を見上げると、深いため息をひとつついた。

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