2013 / 3282

番外編 福田さんの息子さん

「ん……んん……」 全身がふっと浮くような感覚があって、自然と瞼が上がる。 まだぼんやりとしている視界。 はっきりしないそこに映るのは見慣れた高い天井だ。 ぼうっとした頭のまましばらく考え、 「あ、そうだ」 慌てて跳ね起きた。 もしかしてあのまま寝ちゃったかとか。顔がさぁーと青ざめた。 彼と柚原さんと鞠家さんは無事だったのかな? 一太と奏音くんは無事に家にたどり着いたかな? ハルちゃんとたいくんとここちゃんとひまちゃんは? あたりをキョロキョロと見回した。 大きな出窓からは月明かりの光が射し込んでいた。 「皆さん無事ですよ」 かたん、ドアが静かに開いて橘さんが寝室に入ってきた。 「ごめんなさい」 「どうして謝るんですか?未知さんはなにも悪くありませんよ。心と体をゆっくりと休ませてあげてください。おっぱい張ってないですか?」 橘さんに言われ胸にそっと手をあてた。 「ちょうどひまちゃんも目を覚ましたところです。ママ想いの優しい子ですね。誰かさんと違って、お利口さんです。今連れてきますね」 橘さんが陽葵を抱っこしすぐに戻ってきてくれた。

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