2014 / 3282

番外編 福田さんの息子さん

「家のなかで走り回らないで下さい。何度言ったら……」 そこではぁ~とため息をつくと、 「怒るだけ無駄ですね」 自嘲するように微かに笑った。 「ナオさんが情緒不安定で、遥琉がたまには子ども抜きで夫婦水入らずでゆっくり過ごしたほうが早く元気になるからと、晴くんと未来くんを連れてきたんです。なので卯月家恒例のお風呂上がりのおいかけっこがはじまりました」 「だから賑やかなんですね」 「柚原さんと遥琉は、子どもたちに血の匂いが染み付いた服の匂いを嗅がせる訳にはいかないと、帰宅するなりお風呂に直行したんです。たいくんとここちゃんに見付からないように足音を忍ばせて。でも、結局ふたりに見付かってしまい、それからお風呂に入りたいと駄々をこねられ、大騒ぎだったんですよ」 「全然気付かなかった」 いつの間にか眠ってしまい、気付かないくらい熟睡していたんだ。 「ふたりともぽちゃぽちゃが大好きですからね。しかも、大好きなパパとぱぱたんがいるんです。テンションマックスで大はしゃぎだったんですよ」 その時の光景が目に浮かぶようだった。 「たくさん遊んでもらい満足したのか、ご飯を食べ終わると、ふたりともいつもよりだいぶ早いですが寝てしまいました。未知さん」 橘さんの表情が急に険しくなった。

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