2019 / 3282
番外編 彼と久しぶりのお風呂
「遥琉さん……そんなところ……だめ……だめってば」
手をグーに握り肩をぽんぽんと叩いた。
「こんなに甘くて旨いのに、陽葵だけなんてズルい」
顔を上げるとむすっとしこれでもかと頬っぺを膨らませた。
「だって、それは……」
「卒乳するまで陽葵に貸してやれってだろう⁉耳にたこが出来るくらい橘に言われた。風呂に入ってもいいってことは、未知の中にこれを入れてもいいってことだよな」
耳朶を食み、艶のある声で囁くと、すっかり硬くなった自身を下腹部に擦り付けてきた。
いちいち聞かなくてもいいのにと思いつつも、彼が僕を求めてくれるのが言葉からも分かって身体の奥がきゅんっと疼いた。ママになっても、ひとりの女性として彼に見てもらえることが何よりも嬉しかった。
「橘、柚原、ふたりの期待に添えなくて申し訳ないが、このままだと未知が逆上せてしまう。そこから撤収してくれないか?」
彼が脱衣所にいるふたりに声を掛けた。
「上澤先生と南先生がきみの体調を心配していた。食が細いのはもともとだから、こればかりはどうしようもないが、ごめんな気苦労ばかり掛けてしまって」
「ううん、大丈夫」
首を横に振った。
「未知の大丈夫は、大丈夫じゃないんだ。だから、心配になる」
彼が濡れた髪を撫でてくれて、おでこに軽くキスをしてくれた。
「急いで髪を乾かさないと風邪をひく。上がろう」
「うん」
彼に体を支えてもらい立ち上がろうとしたら、バスタブがぬるぬるしていて、手が滑り身体が大きくふらついた。
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