2020 / 3282

番外編 彼と久しぶりのお風呂

一瞬のことで何が起きたのか状況を把握するまで少し時間がかかった。 気付いたら彼の足の上に両膝を立てて、首じゃなくて、頭にしがみついていた。 「生殺しとはまさにこのことだな」 困ったような声が下から聞こえてきて。ドキッとして我に返った。 「ごめんなさい遥琉さん。顔、大丈夫?潰れてない?ちゃんと息、出来てる?」 「そんなに柔じゃないよ。未知、そのままゆっくりと身体を起こせるか?」 「うん。ちょっと待ってて」 身体を起こそうとしてあることに気付き、身体がかぁっと朱色に染まった。 「全部は入ってない。先っぽだけだと思う。だから、なにがあっても絶対に腰を下ろすなよ。俺もなるべく動かないようにするから」 「うん、わかった」 恥ずかしくて彼の顔をまともに見ることが出来なかった。そろりそろりと彼の肩に手を移動し、そのままゆっくりと起き上がろうとした、まさにその時、バチンと大きな音が鳴り、その直後浴室が真っ暗になった。

ともだちにシェアしよう!