2022 / 3282
番外編 彼と久しぶりのお風呂
「良かったですね。すぐに明かりがついて」
「良くない」
「え?なにか言いました?」
「な、なんでもない」
気まずいなんともいえない空気に、僕も彼も湯船のなかで完全にフリーズしていた。恥ずかしくて彼の顔をまともに見ることが出来なかった。
「橘、そのうち上がるから、大丈夫だ」
「何が大丈夫なんですか?」
怪訝そうな橘さんの声に彼がぎくっとした。
「もしかして遥琉」
「する訳ないだろう。子どもたちが我慢出来るんだ。俺だって未知とエッチしたいけど、未知の体調が戻るまでちゃんと待つ。我慢するってお前に約束したはずだ。言ったそばから破る訳ないだろう」
「本当にそうですか?」
「武士に二言はない」
誤魔化そうと嘘をついて、やり過ごそうとしたけど、
「……あっ……」
丸い先端部分がちょうど敏感な肉芽にあたり、身体がぴくんと震え、思わず変な声を出してしまい、慌てて口を覆った。
「遥琉、今の声は、未知さんのですよね?」
すりガラスに橘さんの姿が写った。
「開けるな。絶対に駄目だ」
「どうしてですか?」
「どうしてもだ」
彼が声を荒げた。そっと彼の顔を見ると、頬やあご、額に汗が光っていた。
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