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番外編 青空さん、災難に巻き込まれる

「青空の説明によると、朔久が目撃された駅前の呑み屋街を情報を集めながらはしごして歩いたあと、厚海が失踪前足繁く通っていたガールバーでなにか手がかりはないか聞き込みをしていたらしい。べろんべろんに酔った森崎の身体を支え、土地勘がないから、組事務所に辿り着くまで大変な思いをしたらしい。昼と夜とでは同じ景色でも見えかたがまったく違うからな。ソファーに森崎を寝せて蜂谷に連絡をしようとしたら、寝ていた森崎が突然目を覚まし、俺という男がいながら浮気するかと青空に迫り、キス魔に豹変した。上はかろうじて着ていたが、下はなにも身に付けていなかった。スボンと下着が無残な姿でソファーの下に落ちていた」 「遥琉さん、青空さんは?」 「風呂に入って身体が温まりホッとしたんだろう。そのまま脱衣所で寝てしまったらしい。最後の一戦は死守した。青空はそう言っているがどうも歯切れが悪い。森崎はまだ寝ている。起きたらお仕置きだな。鷲崎もかんかんに怒ってる」 青空さんは蜂谷さんら若い衆が共同生活を送るアパートの部屋に居候している。 「森崎さん起きたら、酔いが覚めているといいね」 「そうだな。青空にしたことを綺麗さっぱり忘れていると思うがな。陽葵、お留守番頼むな」 笑顔で陽葵の顔を覗き込むとぷにゅぷにゅの頬を指先でつんつんと撫でてくれて。ぶつぶつと一人言を言いながら組事務所に向かった。

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