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番外編 森崎さんの好きなひと

「ねぇ森崎、マー以外で好きなひといないの?」 那和さんが唐突に投げ掛けた質問にゴホゴホと激しく咳き込む森崎さん。 水を取りにキッチンに向かおうとしたら、青空さんのほうが早かった。 「ほら」 「有り難う」 森崎さんに水を飲ませると、背中を擦ってあげた。 「困ったな。ますますきみが好きになった」 その言葉に青空さんがギクッとし森崎さんから離れようとしたけど、がしっと腕を掴まれた。 「縣家も一夫多妻だ。どうだ?」 「森崎、嫌い」 プイと横を向く青空さん。 「嫌いで結構」 愉しそうに笑いながら青空さんの腕を引っ張ると膝の上に横向きで座らせた。 「も、も……」 青空さんは抵抗する間もなかった。 頬を赤らめ、これでもかと森崎さんを睨み付けた。 「手の付けられないじゃじゃ馬ほど躾のし甲斐があるというものだ」 目が興奮に輝いていた。 「もしかして森崎もフーと同じ?」 「一筋縄ではいかない、強くて厳つい男がタイプみたいだね」 「じゃあ良かった」 安堵したのもつかの間。 「那和みたいな子も嫌いじゃない。むしろ好きだ」 森崎さんのまさかのひと言に那和さんはサンドイッチを手に持ったまましばらくの間固まっていた。

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