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番外編 青空さん、災難に巻き込まれる
「おぃおぃそんなに目を吊り上げるな。可愛い顔が台無しだ」
森崎さんが窓の外をちらっと見た。
「向かいのビル、基礎部分が手抜き工事だったんだろう?大きな地震が来たら倒壊の恐れがある。ビルを受注した会社は幽霊会社で実態がなく、施工会社は破産。建て壊すにも金がかかるから行政は二の足を踏んでいると聞いた。廃ビルを放置すれば当然治安も悪くなる。卯月さんにも言ったが、一太と奏音が事件に巻き込まれたらそれこそ大変だ。地震はいつ来るか分からないんだ、なるべく早く安全な場所に引っ越したほうがいい。ナオ、きみもだ。踵が良くなったら自宅に戻れ」
「森崎さん有り難う」
「心配してくれて有り難う」
ナオさんと一緒に頭を下げた。
「森崎、どさくさに紛れて青空の尻を揉むな」
彼が険しい表情で部屋に入ってきた。
「なんだもうバレたのか」
「お前の考えていることくらい安易に予想がつく。青空が嫌がっている。セクハラで訴えられたくなかったら今すぐ青空を解放しろ」
彼がスマホを取り出すとなにやら操作して森崎さんに見せた。
「弓削を迎えにこっちに向かっている。初恋をいつまでも拗らせていないで、この際だ。告白したらどうだ?」
「ほっといてくれ」
森崎さんが顔を真っ赤にしてぷいと顔を逸らした。
「へぇー、このひとが森崎の本命なんだ」
青空さんが目をキラキラと輝かせた。
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