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番外編 森崎さんの好きなひと

弟さんがこっちに向かっていること彼から聞いた弓削さんは眉をしかめた。 「危ないから来んなってあれほど言ったのに。なんで分からないのかな」 「お兄ちゃんに一刻も早く会いたかったんだろう。そう目くじらを立てるな。裕貴が護衛を付けてくれるから大丈夫だ」 「裕貴さんにまた借りが出来てしまったな」 弓削さんが柔らかな笑みを浮かべた。 「荷物それだけか?」 「あぁ。柚原が着替えを準備してくれていたからお土産だけ入れて帰るつもりで空のキャリーバックを持ってきた」 「そうか。福島は美味しいものが沢山あるからな。裕貴や遼成や千里たちが喜ぶ。弓削、未知の弾よけはお前にしかつとまらない。席、空けて待ってるから今は医者の言うことを聞いて治療に専念してくれ。あとのことは心配するな」 「有り難うオヤジ」 一太と奏音くんからもらった手紙と、遥香が画用紙いっぱいに描いた弓削さんの似顔絵を最後にそっとキャリーバックに入れた。

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