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番外編 弓削さんの弟さん

「弓削さんに弟さんがいるなんて全然知らなかったからびっくりしました。橘さんは知っていたんですか?」 「えぇ。柚原さんと弓削さんは心の友、ソウルメイトですから、色々と話しは聞いてます。ラブレターを書き終わるまでひまちゃんのお世話は任せてください。たいくんとここちゃんは紗智さんと那和さんと遊んでますから」 「有り難うございます」 彼に欲しいものはあるか?遠慮するな、なんでも言えと言われた弓削さん。姐さんからのラブレターが欲しいと即答した。それを励みに治療を頑張ると。だから、こうして手紙を書いてる。 弓削さんの方言聞きたいな。一人言で言ったつもりだけど、橘さんにしっかり聞こえていた。 「幼い時に両親が離婚して専業農家をしていた母方の祖父母に引き取られたそうです。ですから、訛っているのだと話してました。10歳のとき祖父母が相次いで亡くなり、それが地獄のような生活のはじまりだったそうです。弓削さんは弟を育てるため13歳のとき度会さんと盃を交わしヤクザになりました。柚原さんのほうが私より詳しいですよ」 「弓削さんの弟さんの名前はなんていうんですか?」 「久弥《ひさや》さんだったと思います」 弓削さんの下の名前を知らないことにふと気付いた。 「知らないのは未知さんだけじゃありませんよ。確か、柚原さんと同じ了の字が入るのは覚えているんですが、今度柚原さんに聞いてみますね」

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