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番外編 兄ちゃんhelp!
マスクを片手で外し、ペットボトルを口に運ぶ久弥さん。口の回りが真っ赤になっていた。
「ヒリヒリして痒そうだな。なにか塗る薬はあるのか?」
「仕事が忙しくて医者にも行けないんだ」
「忙しいのは誉に四六時中追いかけ回されて、だろ?」
項垂れて小さく頷く久弥さん。
「俺の息子も肌が弱くてな、咳が出るからってマスクを付けるとすぐに肌荒れするんだ。三日前に皮膚科を受診して塗り薬を処方してもらったんだ。弓削に頼んですぐに持ってきてもらおう。それでしばらく様子を見ろ。痒くても絶対に掻くなよ。さらに酷くなる。明日皮膚科を受診しろ。兄ちゃんや俺たちが誉からお前を守る。だから、痒いのを我慢してまでマスクは付ける必要はない」
「卯月さん有り難う」
数分後、心望を抱っこした弓削さんが険しい目付きで組事務所に入ってきた。斉木先生も菱沼金融から駆け付けてくれた。
「弓削、頭の角を隠せ。そんなおっかねぇ顔すんな。笑え。心望が怯えて泣いているだろうが」
「寝起きだから余計機嫌が悪い。姐さん、ひまちゃんも目が覚めましたよ」
目を擦りながらくずって泣きじゃくる心望をそっと渡された。
「姐さんに被害が及ぶ前に避難したほうがいい」
「有り難う弓削さん」
ちらちらと何度も後ろを振り返りながら、後ろ髪を引かれる想いで自宅に急いで向かった。
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