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番外編 兄ちゃんHELP!!

自宅がある十階に続く階段がある関係者以外立入禁止と書かれたドアの前で誉さんが待ち構えていた。 面倒くさい男だ。関わらないほうがいい。彼に言われたんだ。 挨拶だけして足早に通り過ぎよう。軽く会釈すると、無表情のまま誉さんがドアを開けてくれた。 「有り難う……」 頭を下げようとしたら背中を強く押され、中に押し込まれた。バタン、ドアが勢いよく閉まる音にビックリしたのか心望がピタリと泣き止み、僕の服にしがみつき目をまんまるくしていた。 「お前が未知か?」 「はい。そうですけど……」 じろじろと見られた。 「少しは未知を見習え。未知は影になりひなたになり夫を支え、半歩後ろに下がり、決して前には出ない。まさに良妻賢母の鑑。舎弟を顎で使わず、分け隔てなく可愛がる。姐さんの鑑だ。未知の慎ましさと謙虚さを見習え。なんだ、そのチャラチャラした女は。ここはキャバクラじゃねぇんだ。だからなんなんだ。馬鹿の一つ覚えみたいにアイツら未知、未知、未知。さぞかし可愛い子なんだろうと会うのを楽しみにしていたが、どこにでもでもいる平凡なガキじゃねぇか。さきのほうがお前より何倍も可愛いぞ。あぁ~~気色悪い」 バカにするように鼻で笑われた。 「ちらほらされるのも今のうちだ。俺が本部の組長になったら菱沼組を真っ先にぶっ潰す。そんな目で見てんじゃねぇ。虫酸が走る」 ドンとドアを足で強く蹴り怒鳴り散らす声に、一度は泣き止んだ心望が火が付いたように泣き出した。 「うっせいガキだな。さっさと黙らせろ!聞こえないのか!」 誉さんが怒声を上げた。

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