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番外編 兄ちゃんHELP!!

「キャンキャン泣くな。うるせーな。これだからガキは嫌いなんだよ。そのくそやかましいガキを寄越せ!俺が根性を叩き直してやる」 にやにやと笑いながら誉さんの手が伸びてきた。 心望を渡してなるものか。 ぎゃーぎゃーと泣き叫ぶ心望を両手でしっかりと抱き締め、なんとしてでも逃げなきゃと思い、階段を上ろうとしたら、襟首を掴まれ後ろに強く引っ張られた。 「遥琉さん‼弓削さん‼ウーさん‼柚原さん‼青空さん!」 最悪の事態が脳裏を過った。 僕はどうなってもいい。 神様お願い。心望を助けて。 万事休す。心望を両腕に抱き抱えたまま覚悟を決めたとき、ふわりと体が宙に浮いた。 「……そら……さん」 一体何が起こったのかすぐに理解することが出来なかった。 「守るって言ったはずだ。心望、大丈夫だぞ。顔が怖いのは元々だ。許せ」 ニッコリと優しく微笑みながら心望の顔を覗き込むと、今まで泣いていたのが嘘のようにピタリと泣き止んだ。 そのすぐ直後どすんと鈍い音が響き渡った。 あ、そうだ。誉さんは? はっとしてあたりをキョロキョロと見回すと、誉さんの首根っこを掴みどこかに引きずっていく柚原さんの後ろ姿がちらっと見えた。離せ!俺を誰だと思ってんだ!どんなにわめき散らしても、柚原さんはまったく動じなかった。 「心望の泣き声がする。未知の声がする。柚原、下にいるとき、異変にすぐに気付いた。洗濯物放り投げた。柚原を怒らせたらガチで怖い。アイツは知らないか?」 青空さんの説明ではコインランドリーからちょうど戻ったところだったみたい。

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