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番外編兄ちゃんHELP!!
「青空さん、組事務所には久弥さんがいるの。ふたりを会わせちゃ駄目」
「久弥って誰だ?」
「弓削さんの弟さん」
「弟?意外だな」
何がと聞き返そうとしたら、
「久弥は危険を察知しナオの部屋に避難した。頼むから人の心配より自分の心配をしてくれ」
彼と弓削さんが息を切らし駆け付けてくれた。
「遥琉さん、ごめんね」
「なんで謝るんだ。なにも悪いことはしていないんだ。謝る必要はない。きみが無事で良かった。心望を守ってくれて有り難う」
「僕はなにもしてないよ」
彼の顔を見たら安堵して涙がぽろぽろと溢れてきた。
「青空、ふたりを守ってくれて有り難う」
彼が両手を差し出すと、
「聞き間違えじゃなければ、アイツ、未知に酷いことを言った。心望にも、キャンキャン泣くな。うるせーな。これだからガキは嫌いなんだよ。そのくそやかましいガキを寄越せ!根性を叩き直してやる。そう言った。オヤジ、アイツの根性を叩き直すのが先だ。じきに迎えが来る」
ちらっと上を見ると、紗智さんと那和さんが階段を駆け下りてきた。
「柚原に引けを取らないくらい地獄耳だな」
これには彼も舌を巻いていた。
紗智さんが心望を抱っこしてくれて、那和さんとあやしながらもと来た階段を登りはじめた。手も足もガクガクと震えてなかなか階段を登ることが出来ないでいたら、
「青空は金魚のふんみたく柚原のあとをくっついて歩いている。同じスナイパー同士、言葉にしなくても通じるものがあるんだろう。姐さん、ゆっくりでいいですよ」
弓削さんが声を掛けてくれた。
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