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番外編 散華

九鬼千夏さんが外務省職員に付き添われて帰国し、十七年振りに祖国の土を踏んだと朝のワイドショーがこぞってそのニュースを取り上げている頃、あやみさんは短すぎる人生に幕を下ろした。意識が一度も戻らないまま静かに息を引き取った。 あやみさんの新しい家族になるはずだった鳥飼さんとフーさんと奈梛ちゃんが最後を看取った。なんで鳥飼さんが泣いているのか幼い奈梛ちゃんには分かるはずもなく。鳥飼さんの手をそっと握ると、不思議そうに顔を見上げた。 「奈梛ごめんな。りんりん奈梛のお姉ちゃんを助けられなかった。真っ暗な闇から救い出せなかった。お姉ちゃんにいつか明るい太陽の光を見せてあげようって奈梛と指切りげんまんしたのに……」 鳥飼さんは奈梛ちゃんに何度もごめんなを繰り返しその場に泣き崩れた。 「リンリンワルクナイ」 フーさんが鳥飼さんの体を支え椅子に座らせると、奈梛ちゃんが背伸びして爪先立ちになり、泣かないで。フーさんの言う通りだよ。そう言っているかのようにニコニコと笑いながら頭をぽんぽんと撫でた。

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