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番外編散華
うとうとしながらおっぱいを飲む陽葵をじぃーと見つめる彼。
次は俺の番な。絶対にしまうなよ。いつものようにそう言われると思ったけど、今日は違った。
「遥琉さんどうしたの?」
「奈梛があやみの顔と左の胸を何度も指差し、ギャンギャン泣きながらりんりんとフーになにかを必死で訴えたんだ。だから看護師に事情を説明し左の胸に何があるかを確認してもらった」
「それで?」
「なにもなかった。死後硬直がはじまっていたとはいえ傷ひとつないとても綺麗な肌だった。それを聞いたりんりんは、奈梛が何を言おうとしていたかやっと理解することが出来たんだ」
お手手をグーに握り幸せそうな寝顔で眠りはじめた陽葵を起こさないように、彼が縦に抱っこし慣れた手付きで背中を擦りげっぷさせてくれた。
「親子して黒子が左の胸の上にみっつ並んでいる。それに右耳の下にふたつある。まゆこがあやみが生まれた直後友人にそう話しているのをりんりんが聞いていた。奈梛は何回かあやみに風呂に入れてもらったんだろう。自分と母親と同じところに黒子があったからそれで覚えていたみたいだ」
「じゃあ亡くなったのはあやみさんじゃないの?」
「その可能性が出てきた」
彼が陽葵を寝かし付けてくれた。
「下に置くといつも泣くのに……なんで遥琉さんだと泣かないのかな?」
服を直そうとしたら、
「なんでだろうな」
「ちょっと待って遥琉さん」
がばっと抱きつかれバランスを崩し、両方の胸を出したまま布団の上に倒れ込んだ。
「次は俺の番だ。絶対にしまうなよっていつも言っているだろう?」
やっぱり遥琉さんは遥琉さんだった。
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