2068 / 4015
番外編遥琉さん、イチャイチャしている場合じゃあないってば
ピンポンとチャイムが鳴ったような気がした。
「誰でしょうねこんな夜更けに」
橘さんが立ち上がろうとしたら、
「優璃は姐さんの側にいてやれ。俺が見てくる」
「すみません柚原さん。お願いします」
「おぅ、任せておけ。チャイムは一回までだぞ。何回も鳴らして子どもたちを起こしたら許さねぇぞ」
ぶつぶつ言いながら玄関に向かった。
「奈梛が嘔吐して、熱があるみたいなんだ。うんちもいつもより緩いんだ。こども救急電話相談に電話を掛けたら、朝まで様子を見て、それでも症状が変わらないようなら、休日担当医の小児科を受診するように言われたんだが、だんだん悪くなっているような気がして。あやみだけじゃなく、奈梛にももしものことがあったらと思うと心配で、気がおかしくなりそうで。オヤジに相談したら、斉木先生がここにいるって聞いたんです。斉木先生、どうか奈梛を助けてください」
鳥飼さんの声は涙声になっていた。いてもたってもいられず起き上がろうとしたら、
「未知さん、動いてはいけませんよ」
橘さんに止められた。
「あ、でも……」
「斉木先生はあぁ見えてもれっきとした小児科医です。心配しなくても大丈夫ですよ」
橘さんがすっと立ち上がった。
「明かりを消しますね。未知さんはゆっくり休んでください。いつなんどき遥琉が布団に侵入してくるか分からないんですよ。寝れるときに少しでも寝ておかないと体力が持ちませんよ」
そう言い残し様子を見に向かった。
ともだちにシェアしよう!

